📕 たき火プロジェクト 第6話


「“自由”という名の非正規地獄」


🎬【第6話 – シーン1:たき火を囲んで】

(静かな夜。たき火がゆらめき、温かい光が4人の顔を照らしている)

👧 りん(マフラーをぎゅっと握りながら)
「この前、学校の先生が言ってた。
“今は自由な働き方の時代だ”って……
でも、自由って、そんなに嬉しいこと?」

👴 基善(もとよし)(お茶をすする)
「そりゃそうじゃ。
今の若いもんは選り好みしとるだけじゃろ。
わしらの頃は、どんな仕事でも黙ってやったもんじゃ。
文句言うたら、“甘えるな”と叱られたわ」

👧 りん(少しうつむきながら)
「でも、私の友達のお姉ちゃん、
“いつ切られるか分からない”って言ってた。
契約更新されないかもしれないから、
将来の計画も立てられないって…」

🤵 たきさん
「それが“非正規雇用”です。
自由なように見えて、不安定さというリスクを全部“個人”に背負わせている。
企業にとっては“雇いやすく、切りやすい”便利な仕組みなんです」

👴 宗兵衛(たき火の炎を見つめながら)
「“自由”ちゅう言葉を使うと、聞こえはええがな……
実は、責任や保障から“逃げるための口実”になっとる。
使う方には都合がええが、使われる方は、命がけじゃ」

👴 基善(ちょっとムッとして)
「いやいや、わしらの頃は“自由”なんてなかった。
働けるだけありがたかったんじゃ。
若いのが文句を言うのは、やっぱり…」

🤵 たきさん(そっと割り込む)
「基善さん、もし若い人たちが“選り好み”しているなら、
“結婚できない”“子どもを育てられない”なんてことにはならないと思いませんか?」

👧 りん
「うちのお兄ちゃんも、結婚したいけど“正社員じゃないから無理”って言ってた…」

👴 宗兵衛(小さくうなずく)
「働くことが“人生を築く礎”でなくなっとる。
これを“自己責任”で片付けてしまうと、
“誰も報われぬ世の中”になるんじゃよ」

(たき火が、ぱちっ…と音を立ててはぜる)

👧 りん(たき火をじっと見つめて)
「自由って、すごく強そうな言葉だけど……
ほんとは、弱い人を“自由にする”ためにあるんじゃないの?」

(沈黙――全員が少しだけ黙って、火を見つめる)

👴 宗兵衛
「……その通りじゃ、りん。
自由とは、“守られて初めて”本物になるんじゃ


📝 宗兵衛のひとことコラム(第6話より)

「“自由”とは、“守られた者”にしか届かぬ贅沢じゃ」


📘 次回予告:
第7話「103という壁の怖さ


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