物流展の着想、音声、QR、例外処理、μ秒ログ、そして関西弁。これらを語ったあとに置くべき最後の一行がありました——この仕組み、特許になっています。

01 / ITS NAME

名前は、
「音声検体照合」。

私たちは、この仕組みを社内で「音声検体照合」と呼んでいました。 コンピューターが患者名や必要な試験管を読み上げ、作業者が現物を選び、QRで依頼情報へ結び付けていく仕組みです。

ただ音声を出すだけの機能ではありません。検査依頼書、試験管、依頼ID、音声、QR、バーコード印字まで、 検体が検査工程へ入る一連の流れを安全につなぐシステムでした。

VOICE SPECIMEN VERIFICATION二人の注意力で守っていた照合を、人とシステムの役割分担へ作り直す。

02 / PATENTED

そして、
特許になった。

この仕組みは、「検体管理システム及び検体管理方法」として出願され、特許第6518642号として登録されました。 発明者欄には、太城義雄、原田勝利、古屋めぐみの三名が記録されています。

PATENT
特許第6518642号(JP6518642B2)
TITLE
検体管理システム及び検体管理方法
APPLICATION
特願2016-227423/2016年11月24日出願
PUBLICATION
特開2018-084475/2018年5月31日公開
PATENT GAZETTE
2019年5月22日発行
INVENTORS
太城 義雄・原田 勝利・古屋 めぐみ
APPLICANT
株式会社保健科学西日本

特許の公開・登録情報を見る

03 / THE FIELD INSIDE

公報の中に、
あの現場がいる。

特許公報が掲げた課題は、合理的な人員配置を保ちながら、検体の取り違えを大幅に減らすことでした。 まさに、二人で行っていた照合を一人へ戻し、それでも安全性を下げないために始まった物語です。

REQUEST依頼情報を読む検査依頼書から必要な試験管情報を取り出す。
VOICE音声で伝える作業者へ、選ぶべき試験管を読み上げる。
LINK現物を結ぶQRから検体コードを取得し、依頼IDへ紐付ける。

そして現場で使い続ける中で、発音の揺れを受け止め、手の甲のコマンドQRを生み、非定型検体へ対応し、画面を再生できるログまで加わりました。 特許は完成の印ではなく、そこからさらに現場と育て続けた仕組みの一断面です。

04 / WHAT REMAINS

特許権は消えた。
発明は消えない。

その後、会社の判断で特許を維持するための年金は納付されず、特許権は消滅しました。 けれど、権利が今も存続しているかどうかと、現場の課題から新しい仕組みを生み、特許登録まで至った事実は別の話です。

違う業界から着想を持ち帰り、使う人と改良し、医療の現場で動く形にする。 その仕事が発明として記録された事実は、維持年金と一緒に消えるものではありません。

権利は消えた。
発明した事実は消えない。

特許第6518642号は、今も仕事の証拠として残っています。

ところで、このシステム。
特許です。

本人は、そのことまで忘れていました(笑)。
WRITTEN BY太城 義雄(たき よしお)

IBM i / AS/400を愛するSE

CHAPTER 02 · EXTRA STORY

第二章・全9話+番外編の目次へ