何でも話せる音声システムは必要ありませんでした。現場で伝えたい少数の意思を、確実に受け取ることの方が大切です。

01 / FOUR INTENTS

人間が伝えたい意思は、
四つほど。

検体照合中に必要な音声コマンドは、「次」「OK」「終了」「戻る」程度でした。 自由な会話を理解するより、この四つを間違いなく区別する方が、現場では役に立ちます。

OK終了戻る

想定した言葉の揺れには寛容にし、まったく関係のない発音や周囲の声には反応しない。使いやすさと誤動作防止を両立させました。

02 / REAL VOICE

「はい」って言うてるやろ。

私自身が実際に使うと、「はい」と言っているのに認識されないことがありました。 認識結果を見ると、「ふぁい」や「あい」になっている。自分の滑舌にも原因はありました(笑)。

それなら、どれも肯定の意思として受け取ればよい。人間へ何度も言い直させるのではなく、 システム側で同じOKへ名寄せしました。

はいふぁいあいOK

03 / HEAR THE SPELLING

名前を読むだけでは、
照合には足りない。

日本語では「ず」と「づ」が同じように聞こえます。名前をそのまま読み上げても、 耳だけでは文字表記まで確認できないことがあります。

小塚「こ、つに点々、か」

「づ」を、元の文字が分かる言葉へ変換する。

「し、すに点々、か」

「ず」も、耳で表記を確認できるようにする。

文字列を音へ変えるだけではなく、照合で誤解されにくい言葉へ組み直す。音声の出し方そのものも、業務設計の一部でした。

04 / HUMAN SIDE

人間を直す前に、
システムを直す。

「もっとはっきり話してください」と表示する方が、作る側には簡単です。しかし、何度も繰り返す現場では、 小さな言い直しも疲労と苛立ちになります。人が伝えたい意思を理解できる範囲なら、システム側で吸収すればよい。

人間には優しく、
誤操作には厳しく。

音声認識を万能にするのではなく、現場で必要な意思を確実に受け取りました。
WRITTEN BY太城 義雄(たき よしお)

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CHAPTER 02 · EPISODE 04 / 09

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