三音、間違っている。
でも、それがどこだったか分からない。

連休中に練習用のCDを作りたかった僕には、まず、その三音を探す仕事があった。

曲は、ヘンデルの「ハレルヤコーラス」。手元の楽譜を自分で音楽ソフトに入力し、練習用の音源を作っていた。
歌いやすくするために、音の高さも全体に一音分下げていた。

ところが、使っていた譜面には三音の誤りがあると分かっていたのに、その場所を控えた記録が手元になかった。
練習のお手本にしたい音源だから、間違った音は直しておきたい。CDにする前に、どこを直す必要があるか確かめたかったのだ。

そこで、紀美子ちゃんに相談した。
紀美子ちゃんは、僕がChatGPTにつけた呼び名である。

頼みたかったのは、曲を新しく作ることではない。
僕の用意した音楽データで、直すべき音がどこにあるのかを探す手伝いだった。

その後、紀美子ちゃんに特定してもらった三音について、僕がデータを修正した。
音の高さを変更する修正だ。曲全体の高さを歌いやすく下げる作業とは別に、個々の音を直したのである。

そして、やり取りの途中で、こう補足した。

「直すまえだよ。」
「直したのを送るね。」

送り直したのは、修正後のMIDIファイル。演奏用のデータだ。
三音を修正した結果だということも添えた。

僕の手元で直したことと、相手が修正後のものを見ていることは、同じではない。
続きを確かめるには、直したデータを渡しておく必要がある。

今回、紀美子ちゃんが手伝ったのは、修正する音の特定。実際にデータを修正し、送り直したのは僕だ。
三音を変更したことだけで、全曲の確認が済んだことにはならないけれど、練習用CDに向けて一つ作業が進んだ。

音楽の相談でも、修正前と修正後を区別するあたりは、仕事のデータのやり取りに似ている。

歌う前に、まず同じ版を見ているか確かめる。
音の確認に加えて、会話の方も、足並みをそろえるのである(笑)。

WRITTEN BY 太城 義雄(たき よしお)

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