QR、音声認識、依頼書照会、例外処理。必要な機能を積み重ねた最後に加えたのは、最新技術ではなく、関西弁でした。

01 / HUMAN FATIGUE

人は、正しくても、
疲れる。

検体照合は、正確さを一瞬も手放せない反復作業です。同じ操作を長く続ければ精神的に疲れ、集中力も削られていく。 それは作業者の根性で片づけてよい問題ではありません。

二人で行っていた仕事を音声で一人にし、手の甲のQRで余分な動きを減らし、例外も画面の中で扱えるようにした。 それでも、人間が長時間向き合う仕事であることは変わりませんでした。

02 / A HIDDEN OPTION

そこで、メニューに
関西弁を忍ばせた。

読み上げ方を関西弁に変えられる選択肢を、私はさりげなくメニューへ入れておきました。 正式な改善要請があったわけではなく、私の思いつきです(笑)。

気づいた人が使い、現場でウケた。何度も繰り返す照合の中で、いつもと少し違う声が聞こえる。 それだけで、張り詰めた作業に小さな余白が生まれました。

まじめなシステムにこそ、
少しくらい笑える余白があっていい。

もちろん、照合そのものは大まじめです。

03 / THE SMILE IS REAL

笑いは飾りではなく、
使われるための機能になる。

関西弁が安全性を保証するわけではありません。正確さを担うのは、依頼情報との紐付け、音声とQRの使い分け、 そして例外を置き去りにしない業務設計です。

けれど、使う人がそのシステムを嫌いにならず、自分たちの道具だと思えることも大切です。 笑いが起きた瞬間、システムは「上から与えられたもの」ではなく、現場で育った仲間のような存在になります。

USER EXPERIENCE使いやすさとは、操作回数だけではない。使う人の気持ちまで置き去りにしないこと。

04 / BUILT WITH THE FIELD

検体照合を、
現場と育てた。

この物語は、音声認識機能を作った話だけではありません。物流の知恵を臨床検査へ持ち込み、 人の発音の揺れを受け止め、手の自然な動きをUIに変え、非定型検体まで包含した話です。

ACCURATE正確に依頼と現物を結び、取り違えや不足を防ぐ。
FAST & LEAN迅速に、安く二人分の役割を、人とシステムで分担する。
FOR PEOPLE人のために声、動作、例外、そして笑顔まで設計する。

そして何より、市坂さんをはじめ、実際に使う人が率直に声を届け、私がすぐ形にした話です。 システムは完成品を納めて終わるものではなく、現場と一緒に育て続けるものだと、この仕事から教わりました。

誰のためにシステムを作るのか。
答えは、使う人のため。

だから最後に、システムは関西弁をしゃべった。
WRITTEN BY太城 義雄(たき よしお)

IBM i / AS/400を愛するSE

CHAPTER 02 · EPISODE 09 / 09 · COMPLETE

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