「フリーランスと消費税のワナ」
👦 翔太(カフェのカウンターでタブレットを見つめながら)
「今月も請求書に“消費税”って書かなきゃ……。 でも、もらったお金、全部自分のものじゃないって……正直きついなぁ」
👴 宗兵衛(静かに隣に座りながら)
「税を預かるだけの商いは、身を削るのと同じじゃ……」
🌃 その夜、街の灯が揺れるカフェにて。フリーランスの若者、翔太はスマホで売上管理をしていた。
👦 翔太(ため息まじりに)
「やっと30万稼げたと思ったら、消費税で3万円は国へ……。 さらに経費や保険、年金を引かれたら、残るのは……」
👴 宗兵衛(帳簿をのぞき込みながら)
「見えぬ税こそ、民の心を蝕む……か。そちは、国の徴税吏でもあるんじゃな」
👦 翔太(驚いて)
「え、俺が“徴税吏”? そんな大げさな……」
👴 宗兵衛(頷きながら)
「“預かり税”とは、そもそも御上の代わりに取り立てを担うもの……。 だが、今の世では、その重さに気づかず壊れてしまう者も多かろう」
👦 翔太(目を伏せながら)
「……確かに。請け負い仕事は増えたけど、責任も重くなって、自由って感じしない」
👴 宗兵衛(そっと湯飲みを差し出して)
「自由とは、好き放題できることではなく、“選べる余裕”のことじゃ。 そちには、まだ未来を選ぶ力がある」
👦 翔太(うつむきながら)
「……なんで、売上が多いのに、手元にお金が残らないんだろ。
確定申告、してみて初めて分かりました。
“売り上げ”じゃなくて、“税金”のために働いてたんだって……」
👴 宗兵衛(ぐっと拳を握りしめながら)
「そうか……そなたのような若者が、そんな想いをしておるとはのう……」
🔽宗兵衛、スマホ決済に初挑戦!?
👦 翔太(はにかみながら)
「そうだ、宗兵衛さん。コーヒー代、スマホで送金しておきますよ」
(スマホを差し出す)
👴 宗兵衛(眉をひそめながら)
「ほほう? そなたの手のひらの板で、金が飛ぶというのか。……拙者にも試させてくれんか?」
👦 翔太(爆笑しながら)
「いいですよ、じゃあ送金アプリ開きますね。……で、このQRコードを——」
👴 宗兵衛(スマホを裏返して)
「こっちか? ……いや、こっちが画面……ほう……なにやら“読み取り中”と出たぞ?」
👦 翔太(吹き出しながら)
「反対反対! カメラをQRコードに向けるんですよ!」
👴 宗兵衛(大慌てで向きを変えながら)
「なんと……やはりこの“現代”は化け物ぞ。小判すらいらぬとは!」
👦 翔太(スマホを覗き込みながら)
「……はい、ちゃんと送れました!」
👴 宗兵衛(目を見開きながら)
「ぬぅぅ……目には見えぬが、たしかに金が動いた。これが“自由”というやつか……便利すぎるのも、また怖いのう」
👧 りん(宗兵衛を見ながら、そっとつぶやく)
「……でも、便利な時代のはずなのに、みんな余裕がないのって……なんでなんだろう」
📝 宗兵衛のひとことコラム(第8話より)
「“自由”という言葉には、時に“責任”を押し付ける響きがある」
📘 次回予告:
第9話「“自由”という名の非正規地獄(後編)」
太城がかつて見た現実。そして今、りんが選ぼうとする未来とは。 そして“選択”の裏にある、静かなる覚悟が語られる——。
…and more!